二大政党制を目指すには

いよいよ30日に衆議院選が行われる。今回は政権交代を望む声が大きいようだ。

前回2005年の衆議院選挙から4年が経過しているが、皆さんは前回の自分の一票をどのように評価しているのであろうか。

現実的に考えると、政治(家)は経済、教育、外交、福祉、治安、環境など、数え切れないほど多くの問題を扱っている。それらを扱う政治家を決めるのが選挙だから、国全体に対するデザイン力と実行力を判断、支持し投票するのが選挙のあるべき姿である。

ところが、前回の衆議院選挙では「郵政改革」にYESかNOかを問う一つの問題にすり替えられ、自民党に投票しなければ改革にさえ反対しているように考えられてしまった。その結果自民党の圧勝と郵政改革をみたが、代償として安部首相以降支持率の低い内閣を持たなければいけなくなった。

私は、安部総理大臣以降の人選に関しては、常々自民党に選択責任があると考えてきた。しかし、こうして選挙を目の前にしてみると、選択責任を負わなければいけないのは我々国民であることに気付かされる。

先に書いたがこの国の未来をどのようにデザインし、それをどのように実行するのかを問うのが選挙のあるべき姿だ。そのデザイン力(政策)を様々な角度から分析し、それに伴う実行力(実績)があるか見極める。その明確な意思として示すのが選挙なのだろう。

皆さんの耳にどれだけデザイン力が届いているか。実行力を判断する材料が提示されているか。これが十分になされない限りは、本当の意味での二大政党制のメリットを享受することはできない。

二大政党制の利点は、政党が明確な選択肢を国民に提示し、それを元に自身の意見を選挙に反映することができる点である。成熟した民主主義においては、両政党の政策は十分に国民に提示され、選挙を通じて議論される。また、選挙後もその政策(公約)が実行されているかをウォッチできる。

残念ながら今回の選挙で、十分な政策議論がなされていないし、当然我々の耳に届いていない。しかし、ここで変化を選択しなければ、本当の意味での二大政党制を実現するのは難しいだろう。

今月号のGOETHEで、冨山和彦氏が面白い視点を提供している。今回の衆議院選はどちらも明確な軸を持ちえていない。どちらが政権を握ったとしても、政権に対しての評価は来年2010年7月の参議院選挙まで待たなければいけない。それまでに、軸を明確にし、実行力を示せるかを我々は注意深く見守らなければならない。

混乱が続きそうであるが、日本という国は混乱の後に新しい秩序を作るのが上手な国である。