ドラッカー「マネジメント」を再読する歓び

風邪をひいた。今日はうちにいるしかないので、久しぶりにブログを更新してみようと思う。最近ブログを更新できなかった。生活の中に新しいメディアが入ってきて、若干酔っていた感じ。全てのメディアとのコンタクトを、Offにする時間を設けることで解消しようと思っています。

この数日間『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』、通称『もしドラ』を読んだいた。

この本の編集の加藤貞顕さんとは、お付き合いがある。加藤さんは、好奇心、チャレンジ精神、知的欲求が大きな方だ。思考方法なるべく分かりやすく、つまり本質をついている。深くまで理解して、さらにそれを分かりやすくするという作業は簡単なことではないと日々感じる。
ある日、加藤さんが「僕は身もふたもないことが言える人が好きなんですよ」と。「身もふたもない」は、『あまりにも正しくてそれ以上議論の余地がない』ということだと考えると、なるほど加藤さんらしい発言だ。


さて、『もしドラ』について。

売れている。巷ではドラえもんの関連の何かと間違われてしまうほど、『もしドラ』という言葉も力を持ち始めている。都立高校の野球部女子マネージャーが、ドラッカーの『マネジメント』を手に甲子園に行くという目標を掲げて組織を変えいく。青春ドラマ仕立て経営本。

この本を読んで、私は今まで『マネジメント』を理解しているつもりだけで、実際は理解できていなかったのではないかと、反省した。
筆者岩崎夏海氏の読者としての深い洞察力にストーリーテラーとしての脚本力と相まって、この本を誰にでも手に取りやすく読みやすいものにした。読み手として優れた方にお会いすると、いつもすばらしいなと感心する。この方の『マネジメント』を実践の中で使い、理解されてこられた方だということが分かる。
このように岩崎氏の読み手としての鋭さが私のような読者に「マネジメント」の本質を教えてくれる。それと同時に、程高野球部の『マネジメント』におけるケースという、客観的視点を手に入れたことが理解を深いものにした。川島みなみ。野球部のマネージャーになるために生まれてきたような名前だが、このみなみちゃんの視点を手にしたことによって、「なるほどこういうふうにすればいいのか、それじゃあ自分のケースだとどうだろう」という、建設的な発想の方向に進む。

例えばイノベーションの項で、「エラーすることのいい訳を与える」とある。まだ読んでない方のために多くは語らないが、野球でもしごとでもエラーという失敗はして欲しくはないものである。しかし、それと同時にイノベーションには失敗がつきものである。新しい価値を生み出すのに、失敗を恐れてはいけない。その失敗を人のせいにしてしまっては、イノベーションは成功しない。失敗の中に失敗と成功の本質がある。成功の中からは、双方の本質は学びづらい。エラーという失敗の本質は程高野球部の新しい戦略の想定しうる問題だ。この問題を組織が織り込めるようでなければ、人は育たない。

このようなマネージメントの本質的な考えが、ドラッカーの引用部分だけでなく文中随所に光っている。



なぜ今ドラッカーが人気なのか。
まず、今の日本にマネジメントの問題に直面していない人はいない。ボールを磨いたり、スコアを記入するだけなんではないかと思われていた「野球部の女子マネージャー」でも『マネジメント』を読んで成果が出した。では、私たちも様々なの場面で『マネジメント』の威力を発揮できるところがあるのではないだろうか。




景気が悪いときは、事業の本質が大切になるとはドラッカー自身の言葉であるが、ドラッカーはこの「本質」を何よりも大切にして来たように思える。環境は厳しいが、今こそ我々企業側は顧客がだれなのか、そして彼らが我々に求めていることは何かという初歩的な問いに立ち戻らなくてはならない。ドラッカーの投げかける問いに真摯に答えられる組織は、強い力を持つだろう。


いま、「マネジメント(エッセンシャル版)」を読み直している。程高野球部のマネジメントチームと対話をしながら読んでいけるみたいで、今までより遥かに理解が深い。

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

写真は今日購入した、ドラッカー名著集。
全部読めるかなぁ