ありがとう朝青龍

僕が実際に目にしていたのは、土俵の上で戦っている横綱の姿だけですから、あの「平成の大横綱」に本当にありがとうと言いたいです。


この10年間、日本の相撲界を盛り上げてくれたのは、間違いなく朝青龍でした。2005年の全場所優勝。白鵬とのしのぎを削る名勝負の数々。うちのビデオデッキの中には、どうしても消すことのできない二人の名勝負がたくさん残っています。
土俵以外でも注目を集めた横綱でしたが、僕の心の中に焼きついているのは、横綱の勝負強さです。どうしたら人はこれほど勝負強くなれるのか。どうしたら、人はあれほど集中力を出せるのか。ここ一番の力の出し方は、外のトップアスリートと比較をしてもなかなか肩を並べる人は見当たりません。

彼は支度部屋でのインタビューで、とにかく取り組みのことしか話しません。「左上手が取れなかったから右一本で行くしかないと思った」「いい立会いだったから、このままいけると思って最後まで押した」とか、朝青龍にとっては相撲はスポーツだったのです。しかし、相撲は日本の国技であり、神の前で行われる神事であるという事実が、横綱と相撲界の溝を作ってしまったように思えます。


「平成の大横綱朝青龍は、僕の相撲ファン人生で最も愛した横綱です。心からありがとうと言いたい。