夢をかなえる勉強法

夢をかなえる勉強法

夢をかなえる勉強法

僕は浪人生の時に伊藤真氏にお会いしたことがある。当時通っていた、河合塾駒場校で小論文の授業の一環として、伊藤氏の講演があった。1993年のことなので今から15年近く前のことだが、あまり広いとはいえない教室一杯に受講生が集まり、クーラーがあまり効かない中、汗をかきながら話を聞いたのを今でもよく覚えている。そんな教室の印象もさることながら、目の前の若手法律家の明快な論点をいまでもよく覚えている。その中でも、彼の憲法についての考えは、憲法を表面的にしか理解していない自分にとって非常に真新しいものだった。
彼の第一声は、「日本国憲法でもっとも大切な条文は何か?」という質問であった。僕は当然日本国憲法平和憲法とたらしめている9条が一番大切だと思っていたが、彼は個人の尊重という価値観を主張した13条こそが一番大切であると言った。個人の尊重とは、皆が自分勝手に好きなことをしていいという意味ではなく、自分と同じように周りの人も幸せであってほしいと願っている条文であり、そのために一定のリスクをみんなで負担しようという考え方だと教えてくれた。60年以上も前に、現在のような多様な社会に対応することができるような素晴らしい考えが、憲法という形で今でも残っていることの素晴らしさを伝えてくれた。

さて、その伊藤氏の本を先日購入して、ぱらぱら読んでみた。熟読はしていないので細かいところまでの言及は避けたいが、勉強における基礎とそれを反復することの大切さや、脳の仕組みを説明しながら教える記憶法などいかに勉強すれば結果が得られるかという方法論から、モチベーションの上げ方や挫折しそうになったときの対処法などといった精神論的なものにいたるまで、まさにCool Mind, Hot Heart を信条とする法律家らしい内容になっている。

私自身、効率的な勉強方法を常に考え、提案しなければいけない立場にあり、いわば効率的な勉強方法を考えることを仕事としているわけであるが、色々な点で伊藤氏の提案する勉強法とキャタルで生徒に伝えようとしている勉強方法は共通点を沢山発見することができた。同時に、これはすぐにでも取り入れたいと思うことやこれはこうやって実行すればいいのかという答えのヒントなども沢山得られた。道を挟んだ反対側の「伊藤塾」(キャタルのオフィスから「伊藤塾」は徒歩20秒)で、法律と英語と教えることは違っても、自分と同じように生徒の夢をかなえるために熱意を持って指導されているのだろうなぁと考えると、伊藤氏には勝手に親近感を感じてくる。

その伊藤氏に本日14年ぶりにお目にかかる。とは言っても、今回も講演を聴きに行くだけで個人的なものではないが、新宿文化センターの大ホールなので、2000人くらいが入れるところだ。1995年に「伊藤真塾」を始める二年前に、予備校の小さな教室で講演をしていた若手法律家は、今では日本を代表する法律家であり、非常に大きな影響力をもつ人物となられた。そんな人物にお会いすることで自分がどのように感じるか楽しみである。