天晴れ

天晴れ


昨日は固唾を呑んで相撲中継を見ていました。



14日目。
場所前は体調はまだ万全ではないといわれていた朝青龍は、この2週間で調子をぐんぐん上げて、1敗を守っていました。
前日、白鵬がまさかの3敗。2009年は全75取り組み中4敗しかしていないわけですから、この3敗は予想外。
白鵬の外に3敗の力士が3人。その中には、今日の結びの一番で朝青龍と対戦する日馬富士もいる。日馬富士朝青龍同様、どんどん調子を上げてきている。もしも、もしもではあるが、日馬富士朝青龍に勝てば、現在3敗の力士にも優勝の可能性が出てくる。もちろん、その中には、不調とはいえ、あの昨年圧倒的な強さを見せた白鵬がいる。


しかも、今日の千秋楽のチケットをオークションでgetしていたから、そんな万が一のことが起こって欲しいかもと、心のどこかで期待して見ていた。しかも一人で行こうという、ちょっとストイック。



結び前の一番は、大関の中では常に期待がかかる琴欧州白鵬。両者立会いは悪くなかったし、その後の動きも白鵬はいつも通りだった。それでもやはり今場所3敗している不調さからか、普段だったら簡単に決まっているような技が今場所は決まらない。いつも通りの体の張り、つやをしているので体調的には万全のように見えるが、どうもこの横綱でも「緊張」という言葉を発しているらしい。こころの隙間が、横綱の技を鈍くしている。それでも、ここで負けるようなことがあれば、この後に控える「朝青龍vs日馬富士」の好取組みの意味合いが半減してしう。
誰よりもプロの勝負師としての自覚を大切にしてきた白鵬は負けるわけにはいけなかった。勝っていれば、万が一のときに明日の千秋楽で自らの力で優勝を手繰り寄せることができる。そんな、白鵬の気合が琴欧州の力を一枚上回り、土俵際の投げあいを上手投げで白鵬が制した。



これで、白鵬が3敗で優勝の可能性と千秋楽の盛り上がりのお膳立てとして、できる限りのことをした。


そして、結びの大一番。朝青龍日馬富士。去年の対戦成績は、3勝3敗と五分。この横綱相手に五分の対戦成績を収めていると言うことは、日馬富士朝青龍に対する執念がうかがえる。朝青龍も今年は、年4回優勝と白鵬の圧倒的な強さが目立った去年の成績を前に、言い放った自信とプライドがある。そんな気合が結びの一番に集中し、今場所の最高の一番になる雰囲気がむんむんしていた。



僕も、千秋楽のチケットを目の前に、わくわくしながらテレビを見ていた。


二人の対戦は毎回激しいにらみ合いから始まる。あの朝青龍が一番闘志をむき出しにする相手。今日は更ににらみ合いが激しかった。行事の木村庄之助の「待ったなし」の声で二人の息が合い、立会い。朝青龍が少し左にふわっと浮いたように見えたが、すかさず左の上手を取る。上手を取っているほうが力が出るし、さらにこの横綱にだけは、左の上手を取らせたくない。胸を合わせて五分に組みつつも朝青龍有利。二人の強靭な下半身が、技を応酬するもお互い譲らす。なかなか決まらない。   かと思ったその時、朝青龍がうまく日馬富士を右に交わしひねるように投げ飛ばした。土俵に最後に立っていたのは、朝青龍。千秋楽を前に、優勝を決めた。興奮しつつも、ガッツポーズを抑えられる冷静さもある。




素晴らしい取り組みだった。思わず拍手が出ていた。年末西麻布のラーメン屋で会ったときに、「初場所頑張ってください」と声を掛けさせてもらったが、本気でやってくれた。今日の千秋楽のチケットなんて関係ないほど、素晴らしい取り組みだった。たぶん、逆にこのチケットがあったから楽しめたんだと思う。